7割の人が「職場で厳しく叱ることは必要」と感じているのに上司は叱れなくなっている──。調査結果の背景を紐解き、効果的な叱り方のコツを解説する。

職場では叱れない上司や、叱り方がわからない上司が増えているという声をよく聞く。誰しも人を叱るのは気が進まないものだ。だが、チームを組んで仕事をしていく際、部下や後輩を叱らなければ、組織のミッションを達成することが困難な場合もある。

そこでプレジデントでは、全国の正社員1000人に対し、職場での「叱る」をテーマにアンケート調査を行った。年代は20代(400人)、30代(400人)、40代前半(200人)で、それぞれ男女同数ずつである。

上司の叱る能力が低下している

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7割の人が「職場で厳しく叱ることが必要」と感じている

調査結果からも、あるべき姿と現実のギャップが明らかになった。

「職場で厳しく叱ることは必要だと思うか」という設問に対し、72%の人が「必要」と回答している。その一方で、「職場で上司が部下を叱る行為を目にする頻度」について聞くと、「増えている」(15%)とする人よりも「減っている」(25%)と感じている人のほうが多い。

つまり、ほとんどの人が「職場で厳しく叱ることは必要」と考えているにもかかわらず、実際の職場では「叱る頻度は減っている」という実像が浮かび上がってくる。「職場で厳しく叱ることは必要である」と考えている人たちは、「叱る」という行為にどんな意味を見出しているのだろうか。

まず、「叱られる」側の意見である。「叱られて初めて、進め方が悪かったなど自分に足りない部分がわかる(20代男性)」「人を育てるためには、叱ることは必要だと思う(20代女性)」「叱られたことのほうが脳裏に焼きついているため、最終的に自分のためになる(30代女性)」。

続いて「叱る」側からは、「何度注意しても直す気がない者に対しては、厳しく叱る必要がある(40代男性)」「最近の若い者は叱られることに慣れていないし、怒られないとますます調子に乗る(30代女性)」などの回答が寄せられた。