7割の人が「職場で厳しく叱ることは必要」と感じているのに上司は叱れなくなっている──。調査結果の背景を紐解き、効果的な叱り方のコツを解説する。

プレジデントでは、全国の正社員1000人に対し、職場での「叱る」をテーマにアンケート調査を行った。年代は20代(400人)、30代(400人)、40代前半(200人)で、それぞれ男女同数ずつである。

「一流の鬼・仏」になるには

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鬼タイプ、仏タイプどちらも部下を成長させることができる

昔から優れた上司には「鬼の○○」とか「仏の○○」などと噂される人が多い。実際に「鬼上司の叱り」と「仏上司の叱り」では、どちらが「部下に気づきを与え、成長させる効果的な叱り」と受け止められているのだろうか。

本調査で、「叱られて自分が成長したと感じたときの上司は、どちらのタイプが多いか」について聞いた。その回答を見ると、「鬼タイプ」と「仏タイプ」が拮抗(接した上司のタイプとほぼ同じ割合)し、顕著な差異は見られなかった。

しかし、「鬼タイプが多い」または「仏タイプが多い」と回答した人に、それぞれ「その上司は、どんな特徴を持った人か」と聞くと、興味深い結果となった。

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鬼タイプは「ビジョン、本人の意欲」、仏タイプは「コミュニケーション」が評価されている

結果はグラフに表れている。優れた「仏タイプ」の上司はコミュニケーションに関する能力が高く、一方、「鬼タイプ」で評価されている上司は、強いリーダーシップを持っている。両タイプとも共通して評価されているのは、人間性に関するものとなっている。

この結果を裏返せば、「鬼タイプ」「仏タイプ」それぞれの長所と短所が明確になったといえる。たとえば「鬼タイプ」の上司は「ビジョンや方針をきちんと示してくれる」「個別に具体的な判断や指示をしてくれる」などの長所がある一方、「納得・共感ができる判断や指示をしてくれない」「ふだんあまり話を聞いてくれない」という点がウイークポイントであると考えられる。