そこでこの結果をもとに各タイプの上司に求められる要素を列挙すると、以下のようにいえるのではないか。

(1)すべての上司に求められる必須要素
・仕事を信頼して任せる
・いざとなったら責任をとる
・社内外の調整をしっかりやる
・人間として尊敬・信頼できる

(2)「鬼タイプ」に求められる要素(仏タイプの得意な要素)
・納得・共感ができる判断や指示をする
・ふだんからよく部下の話を聞く
・ふだんからよく部下の状況を把握・理解する

(3)「仏タイプ」に求められる要素(鬼タイプの得意な要素)
・ビジョンや方針を示す
・個別に具体的な判断や指示をする
・知識や経験が豊富
・本人が、社内で評価されている
・本人が意欲的に行動している

たとえば「鬼タイプ」の人は、一般に人に厳しく、目標達成意欲が強いため、叱ること自体に抵抗感は少ないはずだ。しかしながら、「ビジョンを示す」「具体的な指示をする」などの項目が、本当に部下の共感を得られているかどうかにより、その叱りが共感を得られるものになっているかどうかは大きく違ってくる。その点を自己検証する必要があるだろう。

逆に「仏タイプ」の人は、叱るべきときに叱りきれていない可能性がある。部下の状況を把握・理解はしているけれど、それだけにとどまっていないか、振り返ってみる必要がある。

このように、「鬼タイプ」「仏タイプ」とも、自分の得意領域について客観的に自己評価をして本当にできているかどうかを問い直し、さらにウイークポイントを強化することによって、「一流の鬼上司」「一流の仏上司」を演じ切ることが必要なのだ。