定年のない世界ではまだ若造扱い
18歳で前職の食品製造会社に入り、気がつけば30年以上が過ぎていました。工場で生産管理を担当し、比較的若いうちから管理職も任されていました。しかし、50歳が近づく頃には、「このまま定年まで働いて、その先どうなるのか」と考えるようになりました。責任は重いのに、自由は利かない。管理職は残業代もつきませんし、仕事量と待遇のバランスにも、だんだん違和感を持つようになっていました。
ちょうどその頃、子どもたちが会社勤めを始めて、家庭を持ち、私たち夫婦の生活は一段落しました。一方で、知人から定年退職した直後に亡くなってしまった人の話を聞きました。じつは私の父も、定年を迎え年金を受け取る年に亡くなっていました。そういった出来事が重なり「このまま会社の中で決められた仕事を続けるだけでいいのだろうか」と疑問を抱いたのです。
そこで思い切って、50歳で会社を辞めました。これからは、自分のペースで働きたい――。そう考えたとき、もともと兼業農家として続けてきた農業が、自然と頭に浮かんだのです。
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(構成=渡辺一朗 写真=本人提供)

