[事例4:正論KYタイプ]
▼少しの間違いをすぐに正そうとする
議論が大筋でまとまってきているのに、断固として正論を吐いて譲らない人がいる。いわゆるK Yというやつだが、アドラー流に言うと「コモンセンスが欠落した人物」ということになる。
このタイプは相手を動かそうという欲求は持っておらず、自分の意見に固執しているだけだから、柳に風でうまくスルーしてやれば実害はない。
むしろこのタイプの部下は、うまく使えば役に立つ。「集団思考」という言葉があるが、特に日本人の場合、集団で議論をしていると同調圧力が強く働いて結論が無難なものになりがちである。そんなときはわざと正論KYタイプに発言を求めて、正論をぶちかましてもらう。すると議論を本質論に引き戻すことができたり、斬新な視点を取り込めたりする。
このタイプは、私企業で出世していくことは稀だから上司になる心配はないが、万一この手の上司に仕えることになったら3Mが採用しているブートレッグルール(密造酒づくり)を自前で実践するといい。1日のうちの数時間を会社と関係のない好きな研究に充ててよいというルールだが、ポストイットなどのヒット商品はそこから生まれた。正論KY上司は人を支配したいという欲求を持たないから、密造酒づくりには寛容なはずである。
処方箋▼たちまち手なずけられる一言
「鋭い視点だね」
(構成=山田清機)