[事例3:怒り不機嫌タイプ]
▼相手を威圧して自分の言うことを聞かせようとする

いつも不機嫌な顔をしている人が職場にいると、何が気にくわないのかが気になって仕事に身が入らないものだ。アドラーはこうした習慣化した行動パターンを「ライフスタイル」と呼んだ。ライフスタイルとは、交響曲に繰り返し表れる主旋律のようなものである。

一方でアドラーは、あらゆる感情には目的があると言う。不機嫌な感情をまき散らしている人は、その感情を使って他者を動かすという目的を達成していると考えるのだ。

このように怒りや不機嫌を「使う」人はそれ以外の方法で人を動かせることを知らないケースが多い。親身に語りかけることによって人を動かすことも可能なのだが、このタイプには不機嫌な親に怯えて育ったり、過去に怒りによって人を動かすことに成功した経験を持っている人が多く、無自覚のうちに怒りや不機嫌を使っている。

このタイプはそのメカニズムを理解するだけで変わることが可能なのだが、上司にそれを指摘するのは難しいだろう。可能性があるのは、不機嫌を恐れずに接近して優しい言葉をかけることだ。このタイプの人物は他者から疎ましがられて孤独な場合が多いから、優しい言葉をかけると、意外な素顔を見せてくれるかもしれない。

処方箋▼たちまち手なずけられる一言
「すっかり、部長に心配させちゃってすみません」