値段を切るだけのセールスマンはいらない

――景気は冷え込み、営業環境は依然として厳しい状況です。金川社長はいま「営業マン」にどう助言されるでしょうか。
<strong>信越化学工業 金川千尋社長</strong>●1926年生まれ。50年東京大学法学部卒業、極東物産(現・三井物産)入社。62年信越化学工業入社。78年塩ビ事業の海外拠点の米シンテック社長に。90年より現職。2008年3月期まで13期連続最高益(連結)を記録。
信越化学工業 
金川千尋社長

1926年生まれ。50年東京大学法学部卒業、極東物産(現・三井物産)入社。62年信越化学工業入社。78年塩ビ事業の海外拠点の米シンテック社長に。90年より現職。2008年3月期まで13期連続最高益(連結)を記録。

私は神様ではありません。目の前に、「どうしても売れない。どうしたらいいだろうか」と困り果てた営業マンがいても、どう声をかければいいのかはわかりません。しかし酷な言い方になりますが、こうした不況期にこそ平時の努力の結果が表れるのです。

見落とされがちな点は、不況期には我々と同じく、相手も困っているということです。相手の立場に立つ営業ができていれば、そのことにはすぐ気づきます。そうすれば、友人に接するように、困った相手を助けられるはずなのです。