マイクロソフト、オラクル、SAPに続き、2016年、世界4位のソフトウェア企業に浮上するSalesforce.com。名前は聞いたことがあるが何の会社かよく知らない、という人も多いだろう。Salesforce.comの強さはどこなのか、イベントを通じて探ってみよう。
世界的な巨大ソフトウェア企業といえば、WindowsやOfficeでおなじみのMicrosoft、データベースのOracleなどを思い浮かべることだろう。そのソフトウェア業界で2016年、上位陣の顔ぶれが一部入れ替わる。
第4位にのし上がるのは、Salesforce.com(セールスフォースドットコム)だ。他のソフトウェア企業とSalesforce.comが大きく異なるのは、従来のインストール型のソフトウェアとは異なり、インターネット経由でサービスとして提供するクラウド型ソフトを扱う企業であるという点だ。同社が9月、本拠地であるアメリカ・サンフランシスコで開催したイベント「Dreamforce 2015」に参加し、その強さの秘密を探ってみた。
「ありがとう」でスピーチをはじめる共同創業者
Salesforce.comを共同創業したマーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏はDreamforceの初日、基調講演のステージで「ありがとう」という言葉でスピーチをスタートした。自社の成功を一緒に作り上げた顧客への感謝だ。IT業界ではしばしば自社の最新技術を紹介するイベントが多数開かれるが、「ありがとう」で始まる基調講演を見たのは初めてだった。
それだけではない。ベニオフ氏は1時間以上にわたるスピーチを、周囲360度が見渡せる円形ステージの上で行わず、来場者の座席の間に放射状に作られた通路をマイクを手にくまなく歩き、顧客やパートナーと同じ高さで話をする。経営者は皆「顧客重視」という言葉を使うが、Dreamforceイベントに参加すると、それを実践しようという同社の本気の姿勢が伝わってくる。
そんなSalesforce.comとはいったい、どのような企業なのか。