最大の強みは「顧客からの信頼」

Salesforceを知る上で避けて通れない人物がいる。共同創業者であり、ベニオフ氏の片腕として技術を担当するパーカー・ハリス氏だ。Dreamforceでは毎年コスプレで登場して、会場を沸かせる人物として知られる。テーマ別のセッションでは、顧客と同じ席で部下のプレゼンに聞き入る姿も見られた。

セールスフォース成功の陰の立役者、パーカー・ハリス氏。「創業時にあったのは、なにかすごいことが起きるという予感だけ」と振り返る。

ハリス氏は自分の役割について「マーク(・ベニオフ)が描くビジョンを現実のものにすること」と説明する。だが、“まず技術ありき”ではない。「顧客はどんな企業で、どんな問題・課題を抱えており、われわれはどうやって解決できるかを考えている。BtoBでは顧客の成功なしに、自分たちの成功はありえない」と自戒した。そして、「新しい技術があるからそれを製品にし、これが使えるところはどこ? と持ちかけるのではだめだ」と、多くの技術系企業がとりがちなアプローチと対比させた。

世界4番目という順番についても「4位だからSalesforce.comがすごいのではない。われわれがすごいところは、顧客がSalesforce.comが好きというところなんだよ」と顧客との信頼関係を素直に喜ぶ。それが表面的な言葉ではないことは、最終日にベニオフ氏と開く「Q&Aセッション」が示していた。

ベニオフ&ハリス氏が参加するQ&Aセッションは、顧客やパートナーの声を知るための1時間のセッションで、スピーチは一切なし、ひたすら会場からの質問に共同創業者自らがひたすら答えるというものだ。一方向のイベントで終わらないようにという工夫であり、「このセッションが一番楽しい」という声もある。今年も両氏は予定を上回る時間を費やし、円形ステージから質問に答えた。

(左)基調講演でのベニオフ氏とパーカー氏の掛け合い。パーカー氏はSalesforceの新しいUI技術「Lightning」を体現するコスプレで登場した。(右)イベント会場では“1 million books”としてサンフランシスコの小学校に本を寄付する社会貢献活動が展開された。ベニオフ氏はサンフランシスコ市長とともに活動への賛同を表明した。