共働き夫婦に子供ができた。ご近所付き合いはないし、高齢の親は頼りにならない。家事・育児をどうするか。誰にでも起こりうる事態である。渋谷区在住のサラリーマンが赤裸々につづる体験記。
独身時代に海外赴任したとき、会社借り上げの家にハウスキーピング(家事)サービスがついており、仕事に行っている間に掃除が終わっている生活は思った以上に快適だった。帰国後も体を壊しそうな激務の中、外注したいと考えたところ、知人に勧められたのが区のシルバー人材センターだ。
高齢者に短期的な仕事を提供する公益法人のため、民間に比べて時給は安く、都内だとおおむね1000円前後が相場のようだ。とりあえず1回3時間、週1回程度で掃除、洗濯をお願いすることにした。最初に来たのは60代後半の方で、ベテラン主婦らしい家事に満足していた。ただ、ほどなく辞めてしまい、その後もどんどん人が入れ替わる。民間と違い、次の人が見つかるまで時間が空いてしまいがちなこと、人によってスキルや体力に差があるのが難点だった。
その後、30代半ばで結婚。総合職でバリバリ働く妻と相談して、シルバー人材センターのサービスを週2回に増やして続けることにした。外注費は月に約2万円強、2人暮らしなら洗濯と掃除はほぼしなくてよくなる。夜遅く帰宅して家事をどちらがやるかで争うこともなく、妻も大満足だった。
しばらくして妻が妊娠。管理職のため早期復帰を考えていたが、どちらの両親も高齢のうえ、地方在住で長期間頼るのは難しい。何とか外注で乗り切れないかと、徹底的に家事・育児外注サービスを調べてみることにした。
経験者によると、最も大変なのは産後1カ月。母体が回復していないうえ、3時間おきの授乳で寝られないという。となると、問題は退院直後の妻の食事と睡眠時間だ。
そこで見つけたのが産後専門のヘルパーサービス。時給は2500~3000円程度と、通常のベビーシッターより高めだが、新生児の世話から、調理、掃除や洗濯まで一通りこなしてくれる。
幸い、居住している渋谷区には「にこにこママ」という育児支援ヘルパー派遣制度があり、この手のサービスを指定のシッター会社を通して、時給800円で1日4時間まで、合計40~90時間まで使えるそうだ。事前登録が必要で登録から派遣まで1週間程度かかるため、産休に入ってすぐ妻が登録に行く。