少子高齢化を反映した消費者物価指数
「お子さまランチ」が消える? といっても、百貨店の食堂やファミリーレストランの定番がメニューから外れるわけではない。5年ごとに改定される消費者物価指数(CPI)の算定基準に沿って見直される調査対象品目から、お子さまランチが除外される見通しとなったのだ。
その理由は明快で、調査対象世帯の財布からお子さまランチへの出費が減ったためで、少子化時代をものの見事に反映している。今回の除外対象品には筆箱も入っており、子どもの数が減り続ける日本社会の現状を色濃く映し出している。モノやサービスの価格の動きを示す経済指標であるCPIを毎月公表する総務省によると、調査対象品目は追加33品目、廃止32品目の計585品目を新たな算定基準とする。
新基準によるCPIは、来年7月分から公表される予定だ。お子さまランチ以外に、見直しの対象となった品目で目を引くのは、「補聴器」「電動アシスト自転車」が新たに採用された点だろう。聴覚が落ち、足腰の筋力が衰えた高齢者が日常的に利用する機器に対する支出が増えたことが、新規採用の理由であることは言うまでもない。
お子さまランチが除外された少子化と重ねれば、今回のCPIの調査対象品目の入れ替えは、世界最速のスピードで少子高齢化に突き進む現代の日本社会の“実相”を映し出した“鏡”にみえてくる。5年前の調査対象品目見直しの際は、新規に「大人用紙おむつ」が採用されたことをみても、その点は十分に裏付けられよう。
一方、今回の見直しで新たに追加された、ちょっとした変わり種は「警備費」だろう。独り暮らしの女性が警備会社にサービスを依頼するケースが増えたためのようで、これも結婚しない単身女性が増えていることの表れだ。引いては、少子化の一因ともなっている。