リーマン・ショック以降、不況がサラリーマンの懐を直撃、給料が崩壊した。昇給ストップ、ボーナスカット……、実に上場企業の74%が平均年収を下げた。もはや給料アップは期待できない。非常事態だ。
平均給与総額はマイナス5.5%
日本企業の給与水準が緩やかに地盤沈下し始めている。戦後最大のマイナス成長となった2009年3月を底に景気は上向き、アジア市場を牽引役に企業業績も回復しつつあるが、賃金はまったく逆の動きを示している。
象徴的な数値は国税庁の調査による民間給与総額の推移だ。09年の平均給与総額は前年比マイナス5.5%の405万9000円となり、1997年の467万3000円をピークに減少傾向にある。ただし、このなかにはパートを含む約3割の非正規労働者も含まれている。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、09年の一般労働者の所定内給与(月額)は約30万円。前年比1.5%減と4年連続のマイナスとなった。とくに男性は前年比2.1%減の約32万7000円(平均42歳、勤続13年)と下げ幅は大きく、こちらも4年連続のマイナスだ。年齢別では59歳以下の全階層で減少し、とくに下げ幅が大きいのが35~39歳の男性で、前年比マイナス3.6%と突出している。
この傾向は10年も変わらない。厚労省の民間主要企業(資本金10億円以上、従業員1000人以上)の賃上げ調査によると、09年の賃上げ額は6年ぶりに前年を下回ったが、10年は09年をさらに下回っている。具体的には09年の賃上げ額5630円を金額にして114円、率で0.01ポイント減少している。
ではボーナスはどうか。09年の夏は前年比14.3%減、冬が同じく12.6%減と大幅に落ち込んだが、10年の夏はわずかに0.01%増加したにすぎない。業績好調時の07年の主要企業の夏のボーナスの平均は約84万4000円。08年以降、減少に転じ、09年は01年以降で最低額の約71万1000円となった。最悪期を脱し、10年3月期決算では業績回復に転じたが、それでも約71万2000円と1000円しか上がっていないのだ。
業績好調の頃、経営者は口を揃えて「企業業績の反映は賃上げではなく賞与で」と言ってきたが、たとえ業績が好転してもボーナスは上がらない。その理由は簡単だ。3月期決算は人件費などのコスト削減による“見せかけ”の黒字にすぎないからである。