一般的なイメージとして、お金持ちは「性格が悪い」とされている。「金持ち喧嘩せず」など、お金持ちを肯定するようなことわざもあるにはあるが、それは脈々と富が受け継がれてきた由緒ある家柄など、特殊なケースのお金持ちに限ったことだ。特に、「成金」と呼ばれるような一代で急速に財をなしたお金持ちに対して、世間はいいイメージを抱かない。成功者に対する「やっかみ」や「妬み」から偏った見方をしているとも考えられるが、実は「大金を持ったことによって性格が変わる」という状態は、心理学的にも説明がつく。世間のイメージは、あながち間違ってはいないのだ。
お金と性格の関係を語るうえで重要なカギとなるのは、「IQ」の高低である。人の行動にはIQが大きく関係する。これは、財をなした人の性格の変化にも通じるものだ。IQが高くても低くても性格は変わるのだが、その変化の方向性は真逆になる。
IQが低い人は、お金に限らず物事を単純かつ直球で捉える傾向がある。そのため、財をなした彼らは「こんなにお金を稼いでいる自分はきっと偉いのだろう」「使えるお金がたくさんあって嬉しい」「せっかくお金持ちになったのだから、憧れていたリッチな暮らしがしたい」と考える。そこにはためらいや将来への不安はない。もちろん、態度はどんどん大きく尊大になる。「お金を持っているのだから、自分は偉い!」というわけだ。
また、彼らは心理学的に見て、物事を「周辺ルート」で考える傾向がある。「周辺ルート」とは、非常に短絡的で深い思慮を伴わない思考法である。そのため、脳への負担が少ないというメリットがある半面、緻密な判断ができなくなるというデメリットがある。また、「周辺ルート」で物事を考える人は権威やブランドに弱いので、IQの低いお金持ちは、真っ赤なフェラーリに乗ったり、別荘を買ったり、若い愛人を持ったり、いわゆる「わかりやすい成金」になっていく。「派手でいいな」と感じるか、嫉妬を感じるかは人それぞれだろう。