打ち上げ花火のように一瞬華やかに見えても、すぐに消え去っていく成金たち。彼らの生態と没落していくその理由を探る。

90年代終わりから00年にかけての“ITバブル”華やかなりし頃、IT系のIPO(株式公開)企業の社員の持ち株の価値が何十倍、何百倍にもなって“にわか成金”が大量に生まれた。そのなかには持ち株を担保に融資を受けて六本木にキャバクラを出店したものの、しょせん“武士の商法”ですぐに潰し、その後のITバブル崩壊で持ち株の担保価値がなくなり、夜逃げした会社役員もいる。

そんな悲惨な話をいくつも見聞きしてきた元大手証券会社の営業マンで、現在はデイトレーダーとして数億円の資金を動かしている佐々木和彦さん(仮名)は、最近1000万円ほど介護事業に出資した。「子どもたちのことを考えて、これから着実に伸びそうな事業への投資をしたかった」と佐々木さんはいう。同じデイトレーダーの黒田守さん(仮名)は、昨年末に麻布の億ションを購入した。値崩れのリスクが低く、賃貸しても高利回りが期待できるからだ。また、デイトレ仲間の平川康晴さん(仮名)は急成長するアジア各国での不動産投資を考え始めた。

3人とも実に堅実で、昨年末からの株価急騰で儲かっても、繁華街を飲み歩くようなことはしない。情報交換するのも普通の居酒屋だ。

(Getty Images=写真)

夜の社交場である銀座の高級クラブでナンバーワンホステスの経験を持ち、現在は心理カウンセラーとして活躍中の塚越友子さんは、本当のお金持ちと成金との違いを次のように語る。

「本当のお金持ちがいつも考えているのは、どう資産を守り、増やすか。クラブに来ても派手なお金のつかい方はしません。老舗企業の2代目のお客さまは、女の子から10万円のスーツのお仕立券をプレゼントされても、2着セールのときに利用していました。一方、成金は自分が稼いだお金をつかうことに意義を見出しているのです」

たとえば、成金は1本30万円、40万円のお酒を一晩で何本も空けていく。また、女の子にチップを渡すときは、高級ブランドのセカンドバッグから見せびらかすように札束を取り出して、むき出しのまま手渡す。いかに自分が金持ちか、どんなに素晴らしい人間なのかを誇示したいのだろう。