また、やや言いすぎかもしれないが、同時にこのことはリーダーがそんなに優秀でなくても、組織が機能してしまうという結果を生むのかもしれない。

リーダーの統率力が強くなくても、組織が自然と形成され、まとまりがよかったのかもしれない。日本人の高いモラルのためにリーダーによる優れた組織運営はあまり必要なかったのかもしれない。特に、通常の経営状態のときには……。

こうした隠れたメリットやデメリットの実情を今回の震災は暴いてしまったのである。例えば、危機においては優れたリーダーがいないと現場力が強く、働く人のモラルが高くても、目標が達成できないことがわかってしまったのである。

それが常識を壊すということだし、またパラダイム・シフトなのである。的確な言い方ではないかもしれないが、ある意味ではいいことだったのかもしれない。これをきっかけに、これまでの強みを維持し、弱みを克服する新たなパラダイムが生まれつつあるのであれば……。

いま、常識が壊れ、パラダイム・シフトが起こっている中、新たな経営のパラダイムが模索されている。

(平良 徹=図版作成)