相思相愛の連鎖でブランドを構築
心の底から好きな女性がいたら、好きになってもらえるよう努力するだろう。それと同じで、消費者に好きになってもらうには、企画を考えている自分自身が消費者の好みを知ることが重要なのだ。そうすれば、相手は元からこちらを注目してくれる。そして、企画した商品のメッセージも喜んで受け入れ、実際に購入してくれるだろう。なぜなら、初めから消費者が欲しいタイプの商品だからである。そうした熱狂的なファンにラブレターを送るのだから、必ず届くはずだ。
また、本当に好きなモノであればあるほど、現在の消費者は周囲の親しい人たちに教えたがる。そして、口コミにせよ、ブログにせよ、信頼している人からの情報であれば、「私も使ってみようか」と素直に受け入れてもらえる。そんな相思相愛の連鎖が、ヒット商品としてブレークさせていくのだ。
この際「消費者=ターゲット」という意識も捨ててしまおう。消費者は自分が企画した商品を大きく育ててくれる大切なパートナーなのだ。これまでブランドは「商品イメージ」「企業イメージ」という言葉に近かった。しかし、ネット出現後のブランドは「消費者の中に長く維持される愛」に変わったと思う。相思相愛になった消費者の意見を取り入れながら商品の改良などを行うことで、より長きにわたる愛を育んでいくこともできる。
そうなるためにも変化した消費者と深くコミュニケーションを取りながら商品の企画・開発を行い、さらに広告、販売、流通、営業まで、すべてに一貫した消費者とのコミュニケーション設計を取り入れていくようにしたい。実際に意識の高い一部の企業では、すでにその取り組みが始まっている。
(伊藤博之=構成)