「自覚症状がなければ、悪い数値でも慌てる必要はない」と生活習慣総合研究所所長の工藤医師。
まずは自分の健康診断表を見直すことから始めよう。

家系的にがんが心配なケース

図を拡大
注目するのはこの検査項目

Cさん 50歳
身長(cm):171.3
体重(kg):63.5
BMI指数:21.6
腹囲(cm):83.0

メーカーの研究職。出張が多く生活リズムが崩れがち。子どもの頃からよく風邪をひく。酒は飲まないがタバコは2日に1箱程度。毎週スポーツジムでトレーニングをしている。

doctor's check――なかなか見つからない、だから、がんは厄介
健康診断でがんを見つけることはできませんが、赤血球数やヘマトクリットの値に異常が表れることが多いようです。ほかにがんを探る検査として、血液腫瘍マーカー、便潜血検査などがありますが、血液腫瘍マーカーの異常値が直ちに腫瘍の存在を示すものではありません。心配ならば精密検査を受けましょう。

がんによる死亡者数は年々増加傾向にあり、日本人の3人に1人ががんで死亡している。がんは細胞分裂をする際に、いわばDNAの複製ミスが生じて突然変異によって発生する。放置するとどんどん増殖して周囲の正常な細胞を破壊し、いろいろな部位に転移し、生命に危険をもたらす悪性腫瘍だ。

しかし、がんは決して不治の病ではない。たとえば日本人がかかる一番多いがんは胃がんだが、早期であればその多くが完治する。死亡率の高いがんでも早期に治療すれば治療後の生存率が高くなり、再発も少なくなる。そのためには、がん検診が何より重要になる。ところで、一般的な健康診断でがんが発見できるのだろうか?

「企業などで実施される健康診断では、がんを特定するのは難しい。がん検診(肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がんなど)が必要ですが、時には、一般検査の結果にがんの兆候が表れることがあります」(工藤医師)