ハードガバナンスとソフトガバナンス

櫻田謙悟・SOMPOホールディングス社長

今年1月末にスイスで開催された世界経済フォーラム「ダボス会議」に初めて参加した。

「ダボス会議」では世界の数千名の政財界トップが集まり、数百の公式プログラムのセッションが行われた。私はカルロス・ゴーン氏が議長を務めたセッションなどに参加し、世界経済、産業の動向や保険業界のあり方について議論した。会議全体を通じて多くの知見を得るとともに、「自動運転車」普及に伴う被害者救済の考え方を披露するなど情報発信の機会を得ることが出来たが、この会議に参加して強く印象に残ったのは“非連続性”というキーワードである。

急速なグローバル化の進展に伴い、これまでの経験やノウハウでは対処できない課題が数多く出て来ているが、現在のような非連続なビジネス環境において国内外の役員やスタッフを率いていくために必要となるのが「ガバナンス」だ。

グローバル経営における企業統治には2つの側面がある。「ハードガバナンス」と「ソフトガバナンス」だ。前者は、指揮命令権限や株式取得などによる法的な支配権を用いることで、グループ全体の目的に沿って役割を担ってもらうための力である。