サッカー界の「長嶋茂雄」、健在

天の配剤だろう。サッカーJ2横浜FCの“キング・カズ”こと元日本代表FWの三浦知良の輝きは、まったく衰えない。19日。辛辣なコトバで知られる野球評論家、張本勲さんにして、「もうお辞めなさい」の前言を撤回させ、「あっぱれ!」と言わしめた。

三浦カズは48歳。まだ現役。19日の長崎戦でゴールを決め、またもJリーグ最年長ゴール記録を更新した。先日、張本さんからもらった「引退勧告」も「激励」と受け止め、反論することはなかった。旧知のサッカー記者も絶賛していた。

「もう、あっぱれ、あっぱれです。いかにもカズらしい対応でした。大きな心で受け止めてのリターンパス。もし文句を言えば、火に油をそそぐことになったでしょう」

Jリーグがスタートした1990年代、サッカー記者は三浦カズをプロ野球の英雄、長嶋茂雄さんにだぶらせていた。大舞台に滅法強いのである。日本代表の試合でも、大事な場面でゴールを決める。つまり頼りになるオトコ、絵になるオトコだった。

あの94年1月のJリーグ表彰式。初代MVPをとった三浦カズは真っ赤なスーツで登場した。当時、取材した。スポットライトの下、さっそうと登場した三浦カズの輝きが忘れられない。「さすが」と思った。

その後、多少の浮き沈みはありながらも、三浦カズはピッチの上に立ち続けてきた。2011年3月。東日本大震災の後のチャリティーマッチで、三浦カズは鮮やかなゴールを決め、カズ・ダンスを復活させてファンを感激させた。スタジアムの周りでは泣きながらカズ・ダンスを踊るファンであふれた。