PANA=写真

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民主党幹事長 輿石 東(こしいし・あずま)
1936年、山梨県生まれ。都留短期大学卒。90年の衆院選に旧社会党から出馬し、当選。96年の総選挙で落選。98年の参院選で当選し、民主党に入党。信条は「逃げない、ぶれない、裏切らない」。


 

その人事は多くの国会議員の目に「奇策」に映った。民主党内では「絶妙の人選」との声が上がり、自民党や公明党など野党からは「やりにくい相手」と評された。

その人物とは、党ナンバーツーの幹事長に就任した輿石東参議院議員会長である。船出したばかりの野田佳彦首相率いる新政権。党代表を兼ねる野田首相を支える執行部で重責を担う。

鳩山由紀夫、菅直人と続いた首相の下、お粗末な国政運営で国民生活は翻弄され、民主党支持率は急低下した。菅前首相が小沢一郎元代表を突き放したことで、党内は事実上の分裂状態が続いたまま。参議院は与野党逆転でねじれたままである。

外にあっては、震災からの復興が急務となっている。原発問題や超円高に悲鳴を上げる日本経済への対応、停滞する外交など課題は山積している。

そんな中での輿石氏の幹事長就任。党内融和を掲げる野田首相は、小沢元代表に近い輿石氏を幹事長に起用したことで党内のバランスをはかった。未熟な前執行部とは違って、参議院自民党にパイプを持ち、政治力にも長けているだけに、与野党の調整役としての不安は少ない。

元小学校教師。旧社会党出身で、支持基盤は、日本教職員組合(日教組)と委員長経験のある山梨県教職員組合(山教組)。山教組では、違法な資金集めが半強制的に行われたことがあった。組合幹部が政治資金規正法違反で罰金刑も受けている。野党から「カネ」の問題などを掘り返されて、攻撃される可能性もある。

もともと野田首相との関係は良好で、野田=輿石ラインで党再生に期待する関係者は多い。これで民主党は、ようやく“大人の政党”になれるのか。まずはお手並み拝見である。

(PANA=写真)