PANA=写真
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みずほフィナンシャルグループ代表取締役社長 佐藤康博(さとう・やすひろ)
1952年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行入行。総合企画部長等を歴任。2003年みずほコーポ銀執行役員。07年副頭取。09年頭取。11年6月にみずほFG社長に就任。


 

組織の抜本的な見直しにより、グループ改革を行って旧行体質と決別する。その任に当たるのが、みずほフィナンシャルグループ(FG)社長に就任した佐藤康博氏である。

東日本大震災直後に起きたシステム障害は、2000年に第一勧業、富士、日本興業の3銀行が統合してみずほホールディングスが誕生して以来抱えていた問題を改めて浮き彫りにした。

みずほFGとみずほ銀行、みずほコーポレート銀行のトップ人事は、旧3行で分け合ってきた。3トップ体制で経営方針を決めてきたが、これが意思決定の遅れや非効率な組織運営、高コスト体質につながっていた。

また、02年に起きた大規模障害後もシステム統合を先送り。みずほ銀は旧一勧、みずほコーポ銀は旧興銀のシステムを引き継いだ。継ぎ接ぎだらけでトラブルに備えたマニュアルはなく、システム障害が起きやすい環境だった。

佐藤氏の役割は極めて重い。3トップ体制を見直すために、13年を目標に、みずほ銀とみずほコーポ銀を合併、みずほ信託銀行の統合も検討する。人事制度も刷新する。執行役員以上のポストは、トップ同様に3行で分け合うたすき掛け人事だった。これを一定役職以上の人事では、外部の評価を取り入れた制度に改める。もちろん、基幹システムも一新する。

みずほグループを挙げて抜本改革に乗り出す背景には、金融庁の強い意向もある。だが、旧行体質を一新するのは困難という指摘は根強くある。いずれ元の木阿弥になってしまう可能性もまったくないわけではない。

佐藤氏は旧興銀出身。総合企画部長を務めるなど、幹部候補のトップランナーの一人だった。みずほが生まれ変われるかどうかの正念場。佐藤氏の決断力と実行力にかかっている。

(PANA=写真)