フランス経済・財政・産業大臣 Christine Lagarde(クリスチーヌ・ラガルド)
1956年、フランス生まれ。パリ第10大学卒業後、ベーカー&マッケンジーのパリオフィスで弁護士として働く。その後シカゴ本部のエグゼクティブになり、1999年チェアマンに。2005年に帰国して政界入り、07年より現職。現在、IMFの専務理事に立候補中。
IMF次期専務理事の最有力候補、クリスチーヌ・ラガルドは、フランスはもちろんG8の中でも初めての女性財務相だ。EU諸国は文句なく推している。ただ、IMFの活性化を実現しながら、性的暴行容疑で辞任したドミニク・ストロスカーン前理事に続き、またもやEUから理事が出ることに第三諸国からの反発は必至だろう。そうした国々の支持を取りつけるため、彼女は、ブラジル、インド、中国、エジプトなど世界中を駆け巡り、新興国の発言権拡大を約束する。IMFを切り盛りするには、「フランス人であることが切り札になってもハンデになってもいけない」と彼女は言う。
アメリカの国際的法律事務所ベーカー&マッケンジーで弁護士として活躍した後、1999年にはそのチェアマンに選出され、なんと収益を50%も増大させた。ネゴシエーターとしての資質には定評がある。
2005年に政界入り。サルコジ大統領のもとでは、思い切った経済改革を次々と成し遂げ、世界的金融危機の大波を回避する舵取りをした。清潔感と人間味溢れる人柄も賞賛の的だ。
そんなキャリアに、国内では一つだけ影が差す。ミッテラン大統領時代を象徴するスター的ビジネスマン、ベルナール・タピとクレディ・リヨネ銀行の長年の係争問題だ。08年に決着がつけられたが、その際の仲裁の形や周辺人事が不透明だったと大臣としての責任が追及されている。ただし、司法の判断は7月に持ち越されたので、今回の立候補への影響は回避できそうだ。
息子が2人。若い頃はシンクロの選手として国を代表したほどのスポーツウーマンだった。数年前、学生時代の友人と再会し、人生後半の伴侶となった。ともにバツイチ。彼と並んだときの笑顔は、武装を解いてやわらかい。