職種によっては、最大2倍の格差も
公務員は民間企業に比べて高給取りなのでしょうか。
たとえば、東京都が2008年に発表した「技能労務職員等の給与等の見直しに向けた取組方針」という資料があります。都の公務員と民間企業従業員の平均給与について、ほぼ同じ職種ごとで比較を試みています。
清掃職員の場合、2007年の平均月給は 51万9084円。民間企業の類似職種が29万9800円ですので、実に1.73倍の開きということになります。そのため、「国や民間企業の給与水準を踏まえ、給与の伸びを抑制、職務・職種をより一層反映した給与制度への見直しを図る」という方針を打ち出しました。
はたして、この方針は実行されたのでしょうか?
2014年10月に、現在の状況が発表されています。これによると、清掃職員の平均給与は 50万4117円と3%ほど減少していますが、民間企業との差は1.73倍のままです。しかも、自動車運転手や守衛といった職種に至っては、逆に2007年当時よりも上昇しています。
これらは月給だけの比較ですが、年収ベースでは2014年時点で、清掃職員1.96倍、用務員2.02倍、自動車運転手1.74倍、守衛1.95倍と、更に民間企業との格差が広がります。
この資料を見る限りは、官民格差が是正の方向に進んでいるとは、全く思えません。
民間企業は、基本的に市場原理の中で戦っています。清掃会社であれば、コストを一定以内に抑えなければ事業が成り立たないので、自ずと清掃職の賃金水準も決まってきます。
一方、公務員の給料は、毎年昇給していくしくみのため、たいていの人は定年前が一番高くなります。今時たいていの民間企業であれば、昇進・昇格せずに同じ仕事のレベルを継続していれば、何年かで給与が頭打ちになります。それ以上は、年齢を重ねても給与水準は上がらない。それに対して、公務員の場合は、昇格できない人もほぼ定年まで昇給が続く。そのため、年代別で見ると、50代の官民格差が最も大きくなっているのです。