派遣社員は直接雇用を希望しているのか
労働契約法に続き、労働者派遣法改正も検討されています。
労働契約法では、有期契約社員が5年を超えて契約更新される場合には、本人の申し込みにより「無期労働契約」に転換できることになりました。また、派遣法改正では、派遣社員の同一職場での契約が3年を超える場合には、派遣元は「派遣先への直接雇用の依頼」「新たな派遣先の提供」「派遣元での無期雇用」などの措置を取ることが義務付けられようとしています。
この2つの法律を組み合わせて、派遣社員として働く人が、いったい何年で正社員になれるのかを考えてみましょう。
そもそも非正規社員には、正社員になりたい人が多いのでしょうか?
実は、一口に非正規社員といっても、雇用形態によって状況は異なります。さまざまな調査からも、パートタイマーについては、自ら希望してパートを選択している人が過半数。勤務時間などの制約から、正社員になりたい人は少数派です。
一方、派遣社員やフルタイムの契約社員については、今すぐではなくても「できることなら正社員になりたい」という割合が多くなります。仕事内容の違いや残業、転勤の有無など、正社員に魅力を感じない人も一定数存在します。しかし、同じフルタイムで働くのなら、待遇も良く、契約打ち切りなどの将来不安の少ない正社員で、と考えるのは自然なことでしょう。
表は、雇用区分ごとの時間当たりの平均賃金を比較したものです。一般労働者派遣(派遣社員)とフルタイム非正規社員(契約社員)の賃金水準は同じくらいですが、正社員との差は大きく開いています。派遣社員から見れば、すくなくとも賃金面では、契約社員という直接雇用に魅力があるのではなく、正社員に魅力がある、ということになります。ただし、派遣社員→契約社員→正社員という登用段階を採る企業も多いため、契約社員という身分も正社員へのワンステップとしての意味はあります。