就職人気ランキングが示す日本の停滞

今年は3月から、2016年大卒者に対する採用広報が解禁となります。就職情報サイトや各社の会社説明会が、一斉に動き出すのです。今回は、学生の就職企業選択について考えてみましょう。

毎年、大学生の就職人気ランキングが、就職媒体各社から発表されます。

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就職ブランド調査(当時の社名)

表は、リクルート社が発表した「就職ブランド調査」で、1975年と1995年卒業の文科系大学生(男子学生のみ)が選んだ就職人気ランキングです。40年前と20年前に就職活動をしていた先輩たちということになります。もし、この人々が希望通りランキング上位の企業に入社できていたとすれば、果たしてその選択は正しかったのでしょうか。

結論から言えば、案外間違っていなかったといえるでしょう。

なかには、日本航空のように、その後経営に行き詰まった会社もありますが、同社にしても復活し、現在まで存続しています。金融機関は業界再編により合併した会社も目立ちますが、その分、より巨大な企業になっています。

もちろん、バブル崩壊後、終身雇用は大きく崩れていますので、希望退職募集に応じた人や子会社に出向・転籍した人も少なくないでしょう。同期の半数以上が社外に去ってしまった、というケースもあると思います。しかしながら、ここに出ている会社の多くは、総合商社やマスコミなど、現在においても人気ランキングの上位をキープしています。

逆に言えば、日本の産業構造が変化していないということの表れでもあります。アメリカであれば、アップル、マイクロソフト、インテル、グーグル、フェイスブック、アマゾンといった、40年前には存在しないか、誰も知らなかったような会社が、現在では世界的企業になっています。

ところが、近年の日本では、トップ企業の入れ替わりが極めて少ない状況が続いているのです。成長大企業の代表格であるソフトバンクやファーストリテイリングが、学生の人気ランキングでは上位に挙がってこないことも、停滞イメージを助長しています。