法律通りなら、8年で正社員!?
さて、冒頭の法改正。仮に「派遣社員は、正社員を希望」「会社は、人件費抑制のため、できるだけ長く非正規社員として雇用したい」という前提で考えてみましょう。
ある派遣社員が、職場に馴染み、気に入られたとします。すると、派遣期間は更新され、丸3年勤務することとなりました。会社としては、部署を変えれば、引き続き派遣としての契約を結べるものの、この職場から離したくありません。すると、直接雇用に転換ということになりますが、正社員ではなく契約社員として雇用することを選択するでしょう。ここからは労働契約法により、5年間までは契約更新できますので、合わせて8年間。そこで、ようやく無期労働契約に転換ということになります。
しかし、ここで注意が必要です。
まず、3年とか5年といった上限が決められているので、それまでに契約を打ち切られる可能性が少なくないということ。どうしても正社員を増やしたくない会社においては、多少の生産性ダウンは覚悟の上で、人材の入れ替えを考えるでしょう。
そして見落とされがちですが、「無期労働契約」はあくまで契約期間が無期というだけで、「正社員」とは限らないということです。そのため、契約社員の待遇のまま定年を迎えるという可能性もあります。
要するに、今回の法改正については、企業にとっては、さまざまな選択肢が残されているということです。
とはいえ、非正規社員の方々にとって、厳しい話ばかりでもありません。
昨今の人手不足を背景として、ユニクロやスターバックスなど、正社員化促進を打ち出す企業が増えてきました。
また、労働政策研究・研修機構の「労働政策研究報告書2013」によると、学校卒業直後に非正規社員で社会人生活をスタートした人でも、その後、半数近くが正社員になっています。
すなわち、法律の上限期間に関わらず、それより短い期間で正社員になる人は少なくない、ということです。
ただし、この調査によると、
(1)非正規社員から正社員に移行する年齢の大半が、20代であるということ
(2)その場合、勤務先での内部登用ではなく、別の会社で正社員として採用される割合が圧倒的に多いということ
が興味深いポイントです。
正社員になるなら、1つの会社で内部登用を目指すのではなく、「若い(早い)うちに、正社員募集している別の会社を探して」が、セオリーということになりそうです。