2. ピンポイント集中力とは?
高い集中力とはどういう状態でしょうか?
これは、フロー状態と一般的に言われている表現が分かりやすいでしょう。アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイ氏の提唱している理論で、没頭して他のことが気にならない状態のことをいいます。
人間の脳は、絶えず「過去の失敗や後悔」「未来の不安や恐怖」に頭の意識を奪われています。これに対して、今、目の前のことだけに集中できているフロー状態は純度の高い意識状態です。このフロー状態に入ると、短時間で物事を処理したり、難題を解決できたりするのです。
私はこれを「ピンポイント集中力」と呼びたいと思います。
では、どうすればピンポイント集中ができるのか?
3つの原則と習慣をご紹介していきましょう。
3. 集中する習慣の3原則
原則1. シングルタスク、シングルモードで働く
マルチタスクは集中力を奪うので、基本的に1度に1つの仕事を行い、横やりが入って来ても完了するまで他に手をつけないという方針を決めます。この原則をベースにしないとマルチタスクの罠にはまり、ギアチェンジをして大切なエネルギーを失ってしまいます。
しかし、私たちの仕事にはたくさんの種類があり、途中で様々な仕事が入ってくるのも事実です。そこでシングルモードをご提案します。
たとえば、人と話すモードと資料を読むモード、メールを返信するモードと報告を聞くモードは脳の使う部位が違います。よって、同じモードでできる仕事をどれだけ固めてやれるかがポイントです。
シングルモードでなるべく1日のモードチェンジを少なくするプランニングをしてみてください。人間の脳は同じ作業のモードでできることにはギアチェンジは必要ありません。
原則2. 朝に没頭状態を持ってくる
エネルギーの枯渇が集中力を奪うので、朝、最もエネルギーが高い状態でいかに大切な仕事をするか、その仕事に没頭できる状態をつくれるかが仕事の効率を大きく変えます。
また、朝にマルチタスクをして散漫な集中状態で仕事をしてしまうと、それ以降も1日ずるずる同じ状態になりがちです。
朝、ピンポイント集中で仕事ができると、それ以降の仕事も没頭状態を作りやすくなります。
私は、朝に執筆の仕事を入れるようにしています。最も難易度が高く、重要度が高い仕事だからです。昼食後、エネルギーが低くなり眠くなる時間は、外出や人と会う時間にしています。そのためには、朝早起きをして人が出社する前に重要度の高い仕事を一仕事終えるという習慣をお勧めします。
原則3. ノイズを徹底してなくす
「気がかり・不安」は誰でも抱えているものです。しかし、ピンポイント集中力は今だけに集中しているときに引き起こされるものです。未来の気がかりや不安を脇に置くことが重要です。また、机の上が散らかっている、パソコンのファイルが整理されていない、探し物が見つからないという状態は、それだけで脳の集中にとってノイズとなります。
以上の原則を踏まえて、フロー状態を作り出して仕事をする習慣を紹介しましょう。