「選ばれる人」になる

しかしながら、以上のことができたとして、まだ足らないものがひとつあります。それを発信する営業パーソンのアピアランスが、その中身に見合わないものであったとしたら、どうでしょう。ここに、第一の壁があります。

営業パーソンが、ほぼ同じタイミングで2名、しかも飛び込みでやってきたとします。販売代理店として扱っている商材は同じ○○社のファックスマシーン。もちろん、スペックに差はありません。1人は、よれよれになったスーツ、背中を丸めた姿勢、伏し目がちでうつろなまなざし、ヘアスタイルの手入れをした様子もなく、なによりも、自己紹介、あいさつもたどたどしい。これをD君としましょう。

もう1人は、決して高級とはいえないが、身体にスリムにフィットした手入れの行き届いたスーツ姿。ズボンのセンタープリーツもシャープだ。すっくと真っすぐに立ち、顔を上げ、緊張感のなかにも柔らかいスマイルをたたえた明るい表情。自己紹介とあいさつもきちんとしている。これをE君としましょう。

もしあなたが接客したとしたら、どちらを「選び」、話を聞いてみよう、と思いますか。もちろん、E君ですよね。あなたは、D君に対して、こう思います。「なんだか足を棒にして歩き回って、それでどこもうまくいかず、疲れきって当社にきたのだな。そういう人の話を聞いても時間のムダにちがいないから、帰ってもらおう」。

一方、E君に対しては、「おお! なかなかの好青年、いいじゃないか。さっそうとして爽やか、あいさつも明快。目に力もある。きっと何か良い提案をしてくれるにちがいない」と。さらにいえば、この面談者は、E君を通して、「こういう社員を育成している会社なら、信頼できるにちがいない」とも。もちろん、そのときニーズがなくても、ニーズが生まれたとき、まず彼に声をかけよう、名刺はとっておいて……」と、記憶にとどめることになるはずです。E君は、外見力で「選ばれる人」になり、第一の壁をクリアしたのです。