コミュニケーションは、多様な要素の複合体(発信側だけでも「伝え手」「伝える中身」「伝え方」が関係している)である。経営者の話を分析していくと、いかなるときにも有効な「普遍原理」のようなものが確かに存在している。ここでは、それぞれの経営者が見出した「伝え方」を考察してみよう。

相手の立場になって「価値を提供したい」

ミクシィ会長 笠原健治氏

依頼状を書く際、私は「相手の立場になりきる」ことを心がけている。文章の一言一句を見て相手がどんな印象を受けるか――。

まだ社員数名の規模だった頃、我々からお願いして当社の転職サイト「Find Job!」の求人情報をヤフーの求人コーナーに提供させていただいたことがある。まずニュースやIR情報を収集して同社の戦略を理解するとともに、今、ヤフーにどのような魅力が足りないか、どうすればより収益を拡大できるかを考え抜いた。そのうえで、当時はまだなかったアルバイト求人コーナーの立ち上げを提案した。当社はIT系のアルバイト情報を豊富に持っており、そこに我々の情報を掲載することで、御社は幅広いユーザーにリーチできるのではないか、と。

(奥村勝之=撮影)
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