コミュニケーションは、多様な要素の複合体(発信側だけでも「伝え手」「伝える中身」「伝え方」が関係している)である。経営者の話を分析していくと、いかなるときにも有効な「普遍原理」のようなものが確かに存在している。ここでは、それぞれの経営者が見出した「伝え方」を考察してみよう。
「誤魔化せない」と思うまで質問する
トヨタ自動車名誉会長 張 富士夫氏●1937年、東京生まれ。60年東京大学法学部卒業後、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。99年社長就任。2005年副会長、06年会長就任。13年、名誉会長。
現場というのは面白いもので、問題点が出てくるとまずは誤魔化そうとする。これはどこの現場も同じだ。問題の本質を隠して、「こういう難しさがある」と管理職にはわかりにくい現場の事情を並べ立て、紋切り型の説明で誤魔化そうとするのである。
それを「そうか、そうか」と対応していたら、「この程度であしらえるのか」と足元を見られてしまう。
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