国立大との併願が多いのが特徴

有名大学で慶應義塾大はオーソドックスな入試を実施している大学として知られる。センター利用入試を行わず、医と経済は推薦やAO入試も実施しておらず、付属校生や帰国生などでない限り、一般入試で合格するほか入学の方法はない。

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「慶應義塾大学合格高校ランキング」
私立大と一部の国公立大は大学公表のデータ。合格者数を公表していない国公立大については高校発表のデータを使用、大学通信とサンデー毎日の共同調査。(協力/大学通信)

その慶應大の今年の一般入試志願者は4万2398人で昨年より387人減となった。近年の入試傾向そのままに安全志向から、難関大をそれほど受けない影響と見られる。慶應大によると、実志願者数は2万9764人で、志願者の学内併願率(延べ志願者数÷実志願者数)は1.42だった。安全志向から最難関私立大の慶應の学内併願を、それほどしていないことが分かる。志願者でもっとも多かったのが単願者でほぼ7割を占めている。特に単願率が高いのは医、理工、看護医療、薬の理系学部だ。薬を除く理系3学部は8割以上が単願者だった。

数少ない理系学部の学内併願先を見ると、理工学部では経済学部併願者がもっとも多かった。文系学部だけに意外な感じがするが、経済学は入学後、数学が必要なこともあり、理系でも志望する受験生は多いと見られる。これは「慶應だけの傾向ではありません」と、予備校の入試担当者は話し、さらにこう続ける。

「文系、理系分けの時、上位校では迷ったら理系への進学を勧めるのが一般的です。理由は途中で文系に代わる文転は、理転より楽だからです。そのように理系を選んだ生徒が、最後に『文系学部でもかまわない』と考えると、経済を選びがちです。今年の入試でも社会科学系の学部の人気は高くありませんでしたが、その中で経済が比較的人気が高かったのも、そういう理由からでしょう」

一方、文系では文学部が5割を超えているぐらいで、やはり単願者より学内併願者のほうが多い。

その慶應大の一般入試合格者ランキングは、繰り上げ合格者1450人を含んだもので、トップは昨年2位から巻き返した開成で206人だった。2位は昨年の3位から順位を上げた浅野で143人。3位が昨年トップの麻布で137人となった。慶應は神奈川に日吉、矢上、湘南藤沢の3キャンパスがある。地元ということもあって浅野は慶應大に強い。

4位は昨年の7位から順位を上げた海城で133人、5位は聖光学院の131人だった。ベスト5はいずれも男子校だ。慶應のランキングの特徴について、予備校の入試担当者がこう話す。

「慶應では難関国立大に強い学校が上位に来ています。かつては文系でも数学を必須にしていたほどで今は違いますが、入試科目に国語がなく文系では私大型の受験生が受けにくいことがあります。国語の代わりに論文を課すことで、結果として難関国立大の2次試験対策につながるため、国立大と併願しやすいのでしょう」