中小企業の新陳代謝を促す

【田原】さて、ローカルの話に戻ります。日本経済はローカルが活性化しないとよくならないといいますが、現状ではどこに問題がありますか。

【冨山】ローカルの経済圏の多くは、労働集約的なサービス産業です。私たちは岩手県でバス会社を運営していますが、いくら人件費が安いからといってベトナムでバスを走らせても意味がありません。岩手県のお客さんを乗せるには、岩手でバスを走らせるしかない。つまりローカルの産業は空洞化しようがなく、必ずお客さんがいるところで商売をするんです。このように商圏が大事になる商売は労働集約的で、生産性が低い傾向があります。

【田原】生産性が低いと、何がいけないのですか。

【冨山】生産性が低いと賃金も上がりません。したがって、グローバル経済圏で働いている人たちとローカル経済圏で働いている人たちの間で、賃金格差が出てきます。

【田原】グローバルとローカルで、格差が広がっていくわけだ。

【冨山】ただ、賃金格差そのものは仕方ないと思います。格差はイデオロギーの問題として論じられることが多いですが、本当は産業特性上の問題なので、けしからんといってグローバル企業の足を引っ張っても何も変わりません。経済政策上大切なのは、ローカルの産業の生産性を上げて、そこで働く人の賃金を上げることです。

【田原】ローカルのサービス産業は、そんなに生産性が低いの?

【冨山】低いですよ。アメリカの約半分だし、フランスにさえ負けています。フランス人はバカンスをいっぱい取って楽しそうじゃないですか。でも、日本は彼らより生産性が低い。

【田原】意外ですね。

【冨山】でも、これはチャンスでもあります。生産性が低いということは、上げる余地が十分にあるということ。それだけ賃金も上昇する可能性があるわけですから。