2013年10月、IMF(国際通貨基金)は13~14年の世界経済の成長率見通しを発表。それによると、13年は2.9%、14年は3.6%である。アメリカやユーロ圏などの先進国は、13年の1.2%から14年は2.0%に持ち直すものの、中国、インドなど新興国の経済は減速していくという。
こうした逆転現象について、第一生命経済研究所の西濱徹主任エコノミストは「これまで世界全体が金融緩和をしていて、溢れた資金が高い成長率の期待できる新興国に回っていた。しかし、このところ先進国が地力を取り戻しつつあり、緩和を見直したことから、資金の流入が減ったインドやブラジル、南アフリカなどの経済成長が鈍化している。今年はその傾向がより強くなるのではないか」と話す。
まさに目が離せない状況のなか、日本については13年の2.0%から1.2%に減速するとされた。いうまでもなく、4月からの消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減を織り込んでいるからだ。そこで政府は13年末、5.5兆円規模の「好循環実現のための経済対策」を打ち出し、14年度のGDPを0.5%程度押し上げ、成長戦略も推進しようとしている。
西濱氏は「米国をはじめとする世界経済の動向も重要だが、日本経済に占める内需の割合が圧倒的に高いことを勘案すれば、企業が儲けられるビジネスの種が必要」と語る。それが、アベノミクスの“第三の矢”だ。新分野のイノベーションをどれだけ明確にできるかによって、持続可能な経済成長の足取りも見えてくる。
(ライヴ・アート=図版作成)