好調、不調、さまざまな報道が飛び交っているが、韓国経済の実態は四面楚歌の未来が現実のものになりつつある。第一生命経済研究所・経済調査部主任エコノミストの西濱徹氏に話を聞いた。
「多くの韓国企業は海外で得た収益をそのまま海外に投資してしまい、国内には還元されにくい環境にあります。結果、家計部門を中心に国内の貯蓄率は低く、資金調達能力の低い中小銀行などで経営破たんの動きが出ました」
韓国経済は今、円安ウォン高を基調としている。2012年の秋ごろは1円14ウォン程度だったが、13年9月には10ウォン台に突入した。これはアベノミクスによる金融緩和策が大きな要因だが、韓国は工業製品の部品や素材の多くを日本から輸入しているため、円安ウォン高は決して韓国にとって都合が悪いわけではないはずだ。
「韓国は貿易黒字の大半を米国や中国向けの輸出でまかなっており、対人民元や対米ドルで見ると、輸出産業としてはかなり難しい立場にある。韓国の経済基盤は、主要先進国のような裾野の厚みがなく、実態は新興国と考えていい」
そのため、ウォン高を防ぐための大規模な金融緩和策や景気を下支えするための大胆な公共事業投資をすることもできない。家計資産のほとんどが不動産の韓国だが、価格は下がり続けているため、逆資産効果を通じて国内需要は頭打ちしている。
「デフレ状態に入りつつある」と西濱氏は危惧する。不安定な経済状況の韓国、先行きは厳しい。
(ライヴ・アート=図版作成)