“歴史的なウォン高”というわけではない

為替を利用した投資として、FXと並んで一般的なのが外貨預金である。大手銀行からネット証券まで、様々な金融機関で外貨預金が可能だ。なかでも値動きの激しい新興国通貨は新しい投資商品として注目されている。

数ある外貨の中でも最近、大きく動いているのが韓国ウォンである。円ウォン相場は、2012年12月には1円=15.75ウォンだったが、13年5月第2週には同10.82ウォンと、半年で30%以上のウォン高となった。

韓国から見て、ウォン高は対日赤字を減らす効果があるものの、同じ輸出で競合する日本に対し不利に陥るため、経済全体としてはデメリットが大きい。そのまま韓国経済じたいが疲弊していけば、ある時点からウォンは売られるだろう。しかし現時点で考える限り、今のウォン高傾向はもうしばらく続く可能性が高い。

ウォン高で韓国経済が苦しくなっているといっても、07年9月のリーマン・ショック直前には、1円=7.44ウォンというウォン高も記録しているし、1997年7月のアジア通貨危機前まで遡れば、同年3月に同6.3ウォンだったこともある。それを考えると、現在はウォン高とはいっても、歴史的にみて突出して高い水準というわけではない。韓国企業もウォン高対策の経験は持っており、この程度のウォン高で韓国経済が総崩れになることはない。

外貨預金という点からみたウォンの特徴は、ドル、ユーロなどに比べて値動きが激しいことだ。

ウォンは今のところ新興国通貨と位置づけられている。取引量が少なく、マーケットが不安定だ。上がるときの動きも急だが、逆に何か問題が起きて売られ始めると、買い手不在で急降下しやすい。中央銀行が買い支えるにも、買い介入は外貨準備高の範囲内でしかできないため限度がある。