サントリー社長就任への「2つの条件」
サントリーホールディングスは新社長にローソン会長の新浪剛史を招聘する。10月1日付で社長に就任する人事を明らかにした。サントリーが創業者一族以外から社長を迎えるのは初めて。新浪にとってはまさに“アウェイ”での闘いとなる。
新浪は社長就任の抱負についてこう語っている。
「新しいことをやるというのは(期待と不安)、両方ありますよね。私は佐治さんとは長い間つきあっているので、サントリーに入っていくことへの心配はない。むしろ腹をくくってやっていくしかないと思っています。ただサントリーは非常に大きな会社、佐治さんもサラリーマンだった私などが考える以上に大きなスケールを持っている。そんな期待に応えられるのか、といった緊張感はあります」
新浪に社長就任の打診があったのは3年前。サントリーの佐治信忠が声を掛けた。そのとき新浪は「こんな会社で働けたらいいなあ」という漠然とした憧れがあったという。
その後新浪は昨年秋に正式な打診を受けたという。
この時新浪は「2つのことを整理しなければならないので考えさせてください」と答えたという。
「1つ目は私がいなくなってもローソンが業績を上げられる状況でなければならない」
そして2つ目は新浪のもともとの出身母体である三菱商事からの了解。
「小林健社長や小島順彦会長、佐々木幹夫相談役などに相談し、温かく受け入れてもらい、ご支援いただくことです。この2つを整理させていただきたい、と申し上げたわけです。この御三方には頑張ってこいというご支援をいただき、ローソンも3月に社長交代して以降も順調に業績が伸びており、これでローソンも大丈夫だと感じ、それで佐治社長によろしく御願いします、と申し上げたわけです」
実は新浪が後継者を選ぼうとしていた時期と佐治が声を掛けた時期が面白いように符号している。佐治の一言がローソンの後継人事につながったのか。