いまやネット通販で買えないものはない。「これは無理だろう」と言われてきた商材すら呑み込みつつある。とりわけ、勢いに乗る「勝ち組」のビジネスモデルには、「リアル」との連携という共通点があった──。
チラシの特売品が同じ価格で買える
その市場規模、9兆円超――。クリックするだけで商品が家に届く便利さを武器に、日本の「ネット通販」の市場は拡張の一途をたどってきた。経済産業省の調査によると2012年の「BtoC-EC(消費者向け電子商取引)」の市場規模は9.5兆円。07年からの5年間で4兆円以上も増えている。
今後、さらに拡大が期待されている業種のひとつが「ネットスーパー」だ。このうちスーパー大手のイトーヨーカドーがネット事業を始めたのは2001年のこと。しばらくは東京・江戸川区の葛西店のみで展開していたが、05年から規模を拡大。現在は24都道府県の2380万世帯が配達可能エリアとなった。2013年の会員数は170万人で、売上高は450億円。2017年度までに、店舗数を急増させることなく、売上高を1000億円に引き上げる計画を立てる。
サイトにアクセスすると、目に入るのは「担当店舗を確認しよう!」というメッセージ。配達先を入力すると、最寄りの店舗が割り当てられる。イトーヨーカドーではネットスーパー専用の配送センターは設けず、北海道から広島までの145店舗が、それぞれ各家庭に配送する。このため品揃えや価格は最寄りの店頭とまったく同じだ。
この「店頭とまったく同じ」というのが、イトーヨーカドーの強みにほかならない。単品管理用の基幹システムをそのままネットスーパーに転用しているため、肉や魚、野菜、惣菜から「特売品」まで、店頭に並ぶものはすべて購入できる。同じ店舗のなかにベビー用品店「アカチャンホンポ」が入っていれば、その商品までカートに入れられるという徹底ぶりだ。