購入商品が決まったら、決済方法と配送時間を指定する。配送時間は2時間ごと10便程度に区分されていて、店舗によっては最短で受け取れるのが注文から3時間後。ただし時間によって受注件数が決まっているため、人気のある夕方の時間帯は、締め切り時間の前に埋まってしまうことが多い。1回の配達料金は324円(税込)。購入金額によっては無料になる店舗もある。そしてネットから注文が入ると、売り場担当者が商品をピックアップしていく。ここでも「店頭とまったく同じ」というサービスが受けられる。
「『500グラムの豚肉を5つに分けて』『包装用のダンボールは捨ててきてほしい』といったリクエストがあっても、店頭で行っているサービスであればすべて対応できます。普段と同じ作業をするだけですから」(オムニチャネル推進室・高橋信総括マネジャー)
実店舗とネットの連動は、売る側にとってもメリットがある。たとえば雨の日は、店頭の売り上げは減り、ネットスーパーの受注が増える。そこで店長は、売り場の人員をネット注文の作業に回して、受注件数の枠を拡げる。どちらもひとつの店の売り上げとなるため、店頭とネットで客を取り合うのではなく、顧客にとって一番使いやすい方法を、店長みずからが考えて動く。
今後は受注拡大に向けて、店舗の閉店時間を利用した集荷・梱包を検討している。しかし専用の配送センターで在庫を持つような、大型化・効率化は考えていないという。
「大型化すれば効率がよくなるのは確かです。でもそのことでお客さんの利便性が損なわれることは避けたい。(セブン&アイHDの)鈴木敏文会長は『アマゾンはシステムやITが主導するネット通販、うちは小売り発想のネット通販』と強調しています。今後も店舗ごとにこまかく対応していきます」
(文中敬称略)
・2001年に開始。05年から規模を本格的に拡大
・対象世帯は2380万世帯。 各店から配達する
・専用の配送センターはつくらない方針