プラットホーム企業にお任せ――顧客の7割が香港人。高いものほど売れる!
国内で1000軒以上の農家と取引し、食材宅配で急成長中のネットスーパー「オイシックス」は、09年に香港向けの輸出事業を開始した。香港は日本にとって最大の農作物輸出先であり、関税などの貿易障壁も低い。
オイシックスの海外事業(香港)は昨年の7~9月期、前年比4倍の売り上げを記録。黒字化を達成している。香港に駐在する日本人にも人気だが、香港人が顧客の7割を占めるという。
「香港はほかのアジア諸国と比べて自宅で料理をする人が多いといわれています。最初の進出先に選んだのはビジネス環境の面で自然な選択です」
海外事業部部長の高橋大就氏は、外務省に9年間勤めた後、オイシックスに転じた経歴を持つ人物だ。
「一番難しいのは物流。12年には現地に自社倉庫を開設し、冷凍品や加工品は船で運ぶことでコストを下げることができました。価格が下がったことでググッと成長してきたのです」
福島第一原発の事故以来、香港政府は日本から輸入する農作物に対して放射能検査を義務づけている。高橋氏によれば、空港で検査を受けられる航空便に対して、船便の場合は検査官を倉庫に招いて検査を受けなければならない。発送から到着まで1カ月もかかり、在庫管理の手間とリスクが発生する。それでも物流コストの削減は不可欠の課題なのだ。
とはいえ、オイシックスは安売りはしていない。国内でも安心・安全を打ち出していて値段は高めだが、香港では3~4割増しで販売しており、香港人の顧客に限ると単価は1万円を超えることも。むしろ、単価の高い華やかな商品のほうが売れると高橋氏は言う。
「日本国内では毎週もしくは隔週にお届けする定期宅配が中心ですが、香港では月1回程度の『都度購入』が多いのが現状です。桃、いちご、りんご、ぶどうといった果物に加えて、はっきりと違いのわかる野菜が人気です。安納芋、生キャラメル芋、ミニトマトなどの商品がよく売れています」