日本の製造業は厳しいグローバル競争を強いられている。日本が世界で勝ち残るカギはコストを下げることではなく、「高価格戦略」にあると筆者は説く。

高価格そのものが価値を持つ

長引く不況の中で低価格戦略をとる企業ばかりが注目を集めているが、高価格ブランド戦略をとる企業がちらほら出てきた。最近、偶然2つの例を知った。特に探さなくても、偶然に見つかるというのは、そのような企業が増えているからだろう。流れが変わる兆候かもしれない。偶然に出合った一つの事例はお茶をワインボトルに入れて高価格で売っているロイヤルブルーティー。価格は数千円から2万円、最高は20万円前後のものまである。もう一つは、神戸・灘の「沢の鶴」。日本酒を最高33万円の価格で売っている。高額品は海外、特に韓国で人気があるそうだ。ボルドーやブルゴーニュの銘柄ワインに負けない高価格である。先に挙げたお茶も値段ではお酒に負けてはいない。

高価格ブランドは、高価格に見合った価値があるだけではなく、高価格そのものが価値を持つという側面がある。その根拠は3つ。一つはウェブレンがいう誇示支出。見せびらかしの価値である。もう一つは、高価ないいものが買えるというひそかな喜び、はやり言葉で言うと、自分へのご褒美としての価値である。最後はギフトに込める気持ちを伝えるというメッセージ価値である。現在のところ、日本で高価格戦略をとっている企業の多くは、伝統産業分野の中小企業である。しかし、その戦い方は、厳しいグローバル競争に直面しているエレクトロニクス産業や自動車産業のグローバル企業にも貴重な示唆を与えてくれる。