「インフラは、それ自体が発展を意味するわけではない。鉄道は人と資本を動かすが、経済的な利益を生み出せるかどうかは、地方政府や企業がその資源をどう活用するかにかかっている」
中国の高速鉄道網の拡大を支えているのは「統制と調整」だとヘイリーは指摘する。中国の鉄道拡大モデルは、権限と資源を集中させることで成り立っているという。
EVや太陽光パネルの教訓
ヘイリーによれば、中国が高速鉄道網を急速に拡大できたのは、中央政府に責任や権限、資源が集中し、関係機関をまとめて動かせる体制があったからだ。長期的な計画と政府の強力な支援を背景に、省政府やメーカー、研究機関などを国家目標の下で連携させることができる。
だが、この強みは弱点にもなり得る。ヘイリーは、中国にはインフラ開発を長期にわたって統制・調整できる強みがある一方、EVや太陽光パネルなど、中国が戦略的に重視してきた産業と同様に、過剰な投資や供給を招く恐れがあると指摘する。
難しいのは、路線拡張をどこで止めるかの判断だ。「新たな鉄道路線を一本増やすたびに、そのコストを正当化できるだけの経済的、社会的価値があるかが問われる」とヘイリーは言う。
政府による強力な統制と調整はインフラ建設を進めやすくする半面、費用対効果や、資金をほかの分野に使う選択肢が十分に考慮されなくなる恐れがある。「そこに中国モデルのリスクがある。このモデルは、いつ止めるべきかを教えてくれない」
シャヒーンも、中国が高速鉄道網をさらに拡大するなか、今後は線路を何キロ増やすかより、既存の交通網とどう結び付けるかが重要になるとみる。高速鉄道と在来線、地域の公共交通、空港などを連携させることで、交通網全体の利便性をさらに高められるという。
「課題は、新たなインフラを長期的な交通需要に合致させ、財政面、環境面、運用面で持続可能なものにすることだ」とシャヒーンは述べた。「これほどの規模になると、拡大を続けることと同じくらい、交通網の統合や災害・障害への対応力、地域交通との効果的な接続が重要になる」
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