世界最長の高速鉄道網を持つ中国で9月28日、4つの省で複数の主要新路線が開業した。
中国国営の新華社通信によると、新たに開業した区間には、河北省の雄安新区と河南省商丘市を結ぶ路線、陝西省の西安―安康間、黒竜江省のハルビン―伊春間などが含まれる。
湖北省でも9月28日、宜昌と興山を結ぶ新たな高速鉄道が開業した。新華社によると、全長101キロの新路線は最高時速350キロで、中国の高速鉄道の主要路線である上海―重慶―成都線と鄭州―重慶線を結ぶ。
大巴山脈を横断する宜昌―興山間の新路線は、武漢、鄭州、重慶といった主要都市に加え、長江沿いの三峡地域などの観光地へのアクセスを改善し、観光振興につながることが期待されていると新華社は伝えている。
今回の高速鉄道の開業は、中国が近年相次いで進めている大規模インフラ事業の一つだ。
中国では今年、洋上風力発電から直接電力供給を受ける世界初の海中データセンターが稼働を開始した。上海・臨港地区の沖合に位置する施設で、計画上の設備容量は24メガワット。約2万世帯分の電力に相当すると報じられている。
昨年には、「世紀のプロジェクト」とも呼ばれる世界最大の水力発電ダムの建設が始まった。チベット高原東端に位置する複数のダムからなるこの巨大プロジェクトは、年間3000億キロワット時の発電量が見込まれている。これは2024年のイギリス全体の電力消費量に匹敵するとされる。
インフラ建設と活用は別
今回開業した路線は、これまでアクセスが比較的困難だった地域を結び、中国の交通網をさらに強化するものだ。カリフォルニア大学バークレー校で土木・環境工学を専門とするスーザン・A・シャヒーン教授は本誌に対し、高速鉄道は移動時間を短縮し、雇用や市場へのアクセスを改善するとともに、観光や経済活動を後押しすると語った。
同校交通研究所の交通サステナビリティ研究センター(TSRC)の共同所長も務めるシャヒーンは、湖北省西部のような山岳地域では、アクセスの改善が特に重要だと指摘する。
高速鉄道によって、こうした地域と大都市圏や主要な観光市場とのアクセスが大幅に改善されれば、観光業や地元企業、農業生産者に新たな機会が生まれる可能性があるとシャヒーンは述べた。
ただし、鉄道の開通がそのまま地域の活性化につながるわけではないとシャヒーンは指摘する。「重要なのは、地域交通や企業、住宅、観光、その他のサービスへの投資と組み合わせることで、地域社会がアクセス改善の効果をどこまで生かせるかだ」
アジアや新興市場を中心に多国籍企業や国際戦略経営を研究する中国専門家で、ウィチタ州立大学のウシャ・ヘイリーも、同様の見方を示す。

