人材を流出させれば人事も責任を問われる
仕事に打ち込んでいるときに、退職金や定年のことを気にする人はあまりいません。たいていは役職定年や早期退職の募集など、何らかのきっかけがあってはじめて条件を調べます。ただ、何を見るべきかは、あらかじめ頭に入れておいてください。
とはいえ、会社の就業規則を最初から最後まで読み通す必要はありません。就業規則で確認するのは大きく3カ所。まず「退職」の項目。自己都合で辞める場合、何日前までに申し出る必要があるのかを確かめます。次に「定年」の規定で、何歳に設定されているのかを見ます。最近になって定年制を廃止した会社もあります。最後が「定年後再雇用・嘱託」の規定。勤務日数や職務がどう変わるのか、読んでおきます。
気になるのは再雇用後の給与です。以前は現役の7割程度が相場と言われましたが、最近は同じ仕事を続けるなら給与を下げない会社や、嘱託の給与を引き上げる会社も出てきています。人材不足で、中高年を手放したくない会社が増えているのです。定年までまだ年数があるなら、再雇用の条件まで読み込む意味はあまりないでしょう。自分が60歳を迎える頃には、制度が変わっている可能性が高いからです。
就業規則とあわせて見ておきたいのが、退職金規定です。こちらは「いくらもらえるか」よりも「どういう仕組みで退職金が決まるのか」に注目するといいでしょう。
会社によって、勤続年数や役職などをもとに退職時の給付額を決める「退職一時金」のほか、確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(企業型DC)を組み合わせている場合があります。DBは受け取る額があらかじめ決まっていて、運用の責任は会社が負います。企業型DCは会社が出す掛金を自分で運用し、運用成果しだいで受取額が変わります。どちらの仕組みかで、金額の決まり方は変わります。
人事や総務に聞けば、退職金について教えてもらえます。それが彼らの仕事ですし、秘密にするようなことでもありません。ただし、直接聞くことが、いつでも最善とは限らないのです。
人事部と普段あまり接点のない社員が「私の退職金はいくらですか」と尋ねてくれば「この人は辞めるつもりなのか」と受け取られる可能性があります。重要なプロジェクトを担っている人ならなおさらです。
人事部にも事情があります。重要な人材が流出すれば、経営陣から責任を問われかねません。昇進を期待されている人であれば「昇進させた途端に辞められたら困る」と決定に影響するかもしれません。自分で調べてわかることなら、そのほうが無難です。
退職金規定は多くの場合、イントラネットで見られます。まず、自分の退職金が何を基準に決まるのかを確かめてください。勤続年数なのか、役職や等級なのか、毎年たまるポイントなのか、会社によって違います。
ポイント制なら、給与明細に累積ポイントが載っていることがあります。ただし、ポイント数だけでは金額になりません。単価は規定に書かれているので、累積ポイントに単価を掛け、さらに退職理由による係数を掛けるなど、規定の方法で算出します。
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