「お腹が出ていないから安心」ではない
それにより、すい臓の基礎分泌で肝臓の糖新生(糖質以外の材料から糖をつくる働き)が管理しきれなくなると空腹時高血糖となり、すい臓疲労も糖質老化も勢いを増します。インスリン抵抗性は、これまでは内臓脂肪の蓄積によって促されると考えられてきました。
ところが現在では、メタボになるほど内臓脂肪が蓄積していなくても、つまりへその高さで測る腹囲が男性で85cm、女性で90cmを超えていなくても、脂肪肝があるだけでインスリン抵抗性が生じるとわかっています[3][4]。
インスリン抵抗性が起こると、血糖値が下がりにくくなるだけでなく、高インスリン血症(血中のインスリン濃度が高い状態)から肝臓での脂肪合成が高まって脂肪肝を促すという悪循環に陥ります。脂肪肝になると、肝臓には血糖が入りにくくなり、肝臓で糖質を合成して血糖値を上げる糖新生が活発になります。結果、空腹時血糖値が上昇。糖質老化と糖尿病のリスクが高まります。
見逃したくない脂肪肝のサイン
脂肪肝はなじみがあると思いますが、肝臓や筋肉に限らず、異所性脂肪はあらゆる場所に蓄積します。異所性脂肪がたまった臓器や組織では、蓄積によってインスリン抵抗性が生じることがしばしばです。改めて考えてみると、これは極めて自然な話です。異所性脂肪がたまった臓器や組織は、「もうこれ以上不要な脂肪をためたくない!」と悲鳴をあげています。
インスリンの作用を聞き入れず、糖を細胞に放り込むインスリンのはたらきをブロックしてやろうという反応が起こります。これがインスリン抵抗性です。臓器や組織は異所性脂肪がたまることで、本来のはたらきが果たせなくなるからです。健康診断などでは、脂肪肝かどうかは超音波診断で判断します。
超音波を当てて肝臓で白くなっているエリアが広くなったり、肝臓の奥まで超音波が届きにくくなったりすると、脂肪肝が疑われるのです。その予兆は、血液検査でも捉えられます。肝臓がつくっている酵素の1つに「ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)」があります。

