内臓脂肪から出る「体にいいホルモン」

インスリン(血糖値を下げるホルモン)の効き目を悪くしたり、血圧を上げたり、血栓という血の塊をつくりやすくしたりする悪玉ホルモンを盛んに分泌するのです。例外的に一部、内臓脂肪から分泌されるホルモンのうち「アディポネクチン」というホルモンは、インスリンの効き目をよくしたり、酸化や炎症を防いだりと、ポジティブなはたらきをします。

このアディポネクチンの分泌は、すい臓疲労や糖質老化を防ぐ方向にはたらくと考えられますが、内臓脂肪がたまりすぎると、アディポネクチンの分泌量は逆に減ってしまうのです(内臓脂肪細胞が肥大化するとアディポネクチンの分泌が低下してしまう要因にも、ある種のAGEs(終末糖化産物。糖がたんぱく質などと反応してできる物質)が関与しているという説があります[1])。

内臓脂肪は、ただ脂肪がついているだけでなく、その脂肪が、全身に悪さをし、糖質疲労や、すい臓疲労を加速するのだということを知っていただきたいと思います。

肝臓も筋肉も脂肪のたまり場に

からだには、皮下脂肪、内臓脂肪以外にも脂肪を蓄えている臓器が存在します。本来は脂肪を蓄積する臓器でないところに蓄積された脂肪を「異所性脂肪」と呼びます。異所性脂肪は、皮下脂肪、内臓脂肪に続く“第3の脂肪”と呼ばれることもあります。異所性脂肪という言葉が示すとおり、本来なら脂肪がたまらない場所(異所)にたまる脂肪です。

いわば邪魔ものみたいなものですから、たまった場所の機能を落としかねません。異所性脂肪の中でも私が問題だと思っているのは「脂肪肝」と「脂肪筋」です。脂肪肝は、肝臓内に異所性脂肪がたまったもの。脂肪筋は、筋肉内に異所性脂肪がたまったものです。肝臓にたまってしまう異所性脂肪は、気になる人も多い、いわゆる「脂肪肝」です。

肝臓は脂質や糖質を盛んに合成しますし、肝臓自体は一定程度の脂肪をためておく場所でもあります。しかし、肝臓をつくっている肝細胞の5%以上に脂肪がたまっているのが脂肪肝です[2]。脂肪肝があると、血糖値を下げるインスリンの効き目が落ちるインスリン抵抗性が進みます。