金利上昇を引き起こす意外な要素
――OpenAIは、インフラ構築のために4年間で最大5000億ドル投資する「スターゲート計画」を発表しています。AI開発は、巨額の先行投資が必要な産業です。そんな中で、アメリカを中心に長期金利が上昇しています。金利上昇は、どの程度の逆風になっているのでしょうか。
【佐川】金利上昇の影響は、最近かなり注視しているところです。そもそもなぜ金利が上がっているのか。
アメリカでは、FRB(米連邦準備制度理事会)が9月に利上げを行いました。この1回の利上げだけでなく、この先追加利上げがあることを市場が織り込んでおり、それが短期的には金利を押し上げる要因になっています。また、アメリカ政府の財政悪化への懸念もあります。
さらに別の要素もあります。AI投資を進めるハイパースケーラー(巨大データセンターを持つ大手IT企業)であるアマゾンやオラクル、メタ・プラットフォームズといった企業による巨額の社債の発行が市場の需給に影響していて、それも金利上昇につながっているという側面があります。
ハイパースケーラーによる社債の発行額を見ると、今年は9月までで2200億ドルを超える額になっています。これは昨年の2倍を超える水準です。
これだけ多くの社債が発行されると、投資家の側も、新しい社債を引き受けるために、より高いスプレッド(社債の利回りと国債の利回りの差)を求めるような状況になっています。
気になるAI企業のIPO
AIモデルの開発企業を見ても、先ほど売上高の話がありましたが、自社のキャッシュフローだけで投資を賄うのはなかなか難しいところがあります。ハイパースケーラーや半導体メーカーといった大きな企業の資金力や信用力を支えに、資金調達をしてきた側面があります。
そういった意味では、今の金利上昇ですぐに投資が止まるようなことは考えにくいとは思います。一方で、ハイパースケーラーにとって資金調達のコストが上昇していることは間違いありません。
資金調達コストの上昇を受けて投資姿勢が慎重になってしまうと、その影響は、キャッシュを大きく消費しているAIモデルの開発企業にも波及してくる可能性はあるかなと思います。
――AIへの先行投資が大きく拡大するフェーズは、まだ続くと思います。その持続性を見極める上で、どのような点に注目しているのでしょうか。
【佐川】まず注目しているのは、今後控えているOpenAIやAnthropicのIPO(新規株式公開)の動向です。現時点では、OpenAIのIPOは2027年に後ろ倒しになっていて、Anthropicも当初は2026年9月と見られていましたが、今のところ11月が有力視されています。
IPOは、市場の変動が大きい中で、想定した企業価値で資金調達できるかが非常に重要になるという意味で、タイミングもなかなか難しいものになっています。しっかりと市場から十分な資金を調達できるのか、このあたりを見ていきたいと思っています。

