値下げから一転、DeepSeekが値上げ
――中国発の価格競争がアメリカにも波及すると、AIモデル開発企業にとっては、収益がさらに圧迫される構造になるのではないでしょうか。
【佐川】価格が下がれば、顧客を一定程度獲得できる可能性も出てきます。ただ、おっしゃったように、収益性や将来の投資の余地にも影響が出てくる可能性があると思います。
先ほど触れた中国のDeepSeekも、今年の8月には、今度は基幹モデルの価格を引き上げたという報道がありました。
低価格のモデルを展開していたところ、そちらの利用が拡大して計算資源が足りなくなり、十分に処理できなくなったことから、価格を引き上げることで計算資源を増強するための収入確保が必要だと判断したのだと考えられます。
こうした状況を見ていくと、単純に価格競争だけではなく、いかに収益性を維持しながら開発や投資を継続できるのかというバランス感が、非常に重要になってきていると言えます。
高性能と低価格で二極化
――Anthropicの「Claude Mythos」のように非常に精度の高いモデルが話題になる一方で、手の届きやすい低価格のモデルも出始めています。AIモデルの市場は、どのように変わってきているのでしょうか。
【佐川】AIのモデルを見ると、OpenAIやAnthropicが作っているような「フロンティアモデル」と呼ばれる高性能のモデルがあります。
一方で、中国が得意とする低価格の「オープンウェイトモデル」(モデルの中身が公開され、自社の環境などで動かせるモデル)もかなり出てきていて、市場が二極化してきています。
そうした動きが出ている中で、アメリカでも今年10月に、低価格のオープンウェイトモデルが新しく公表されるということもありました。(メタ「Muse Spark Open」など)アメリカ国内だけでなく、中国との価格競争を意識した動きも出ているのかなと思います。
オープンウェイトモデルがこのように台頭してくる中で、フロンティアモデルの開発企業が性能の優位性を維持しながら収益を確保できるのかという点も、今後の注目点です。

