「中国脱出者」は今後も増えていく
本来、中国は、不良債権処理や過剰生産能力の解消など、構造改革を進めることが必要だ。そうすることで、若者の雇用機会を増やし、夢や希望を持って生活できる環境を整えるべきだろう。ところが、現在の習政権はそうした改革よりも、自身の権力基盤の強化など政治を優先している。
現在の状況が続くと、今後、債務問題や若年層の失業問題はさらに深刻化するだろう。自力での財政運営に行き詰まる地方政府も増加することが懸念される。年金や医療などの社会保障は、都市と農村で分けられた戸籍に紐づいている。地方財政が悪化すれば、人々の将来不安はさらに高まらざるを得ない。
中国政府にとって、改革は一段と困難になりそうだ。恐らく、これからも、中国から日本に移り住み、学位の取得、就職、さらには永住を考える人は増えそうだ。
それに対して、わが国は受け入れ体制を整備する必要がある。長い目で見れば、受け入れ体制の整備は、日本の経済や社会の活力向上に寄与するはずだ。
語学・文化の学習を国が促す制度
海外の事例を見ると、主に3つの取り組みが必要になるだろう。1点目は、東京だけでなく、地方でも受け入れ体制を整備することだ。オーストラリアは地方の大学で学んだ留学生に卒業後の就労期間を長く認め、人材を地方に誘導している。
政府や自治体は、地方の大学や企業への就職者に、在留上のメリットを設け、外国人の子どもが多い学校には、必要な教員や通訳を公費で配置することを検討すべきだ。実務家教員の登用など教育レベルの引き上げも不可避である。
2点目に、日本社会への定着支援だ。ドイツは、語学や文化を学ぶ講座を国の費用で提供した。韓国は同様の課程の修了者に、永住や帰化の審査で試験の免除などの優遇を与えた。わが国にもそうした制度は必要になるだろう。
3点目は、経済安全保障との両立だ。英国は、先端技術分野を学ぶ留学生や研究者を、分野ごとに事前審査する制度を導入した。出身国ではなく、分野ごとに受け入れ審査基準を明確にし、知的財産や製造技術の流出を防ぐことが欠かせない。
海外出身の永住希望者と日本人が安心して協働できるよう、相応の受け入れ体制を整えることは急務といえるだろう。
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