本当の失業率は「46.5%」指摘も
中国の雇用環境の実態は、公式統計よりも深刻という見方もある。今年8月、政府発表の16〜24歳(在学生を除く)の失業率は18.9%、現行の算出方法で最悪の水準に並んだ。今夏の大卒者は過去最多の約1270万人に上った。熾烈な受験競争をくぐりぬけて学位を取得しても、希望した職に就けない人は増えている。
中国の統計は、週に1時間でも働けば就業者とみなし、求職を諦めた若者は対象から除外する。そのため、「若年層の雇用環境の悪化を適切に反映していない」との専門家の指摘もある。2023年、北京大学のある研究者は、実際の若年層失業率は公表値の2倍超の最大46.5%に達すると推計したほどだ。
2022年半ば以降、都市部の失業率は5%前後で横ばいなのだが、それが実態かと疑問を呈する人もいる。不動産バブルの崩壊、EV(電気自動車)などの過剰生産能力の深刻化で、企業収益や地方政府の財政は悪化しているはずだ。また、トランプ関税などの影響で、沿岸部の中小企業の倒産件数も増えているという。それを考えると、実際の労働市場はかなり悪化しているとの指摘もある。
AIに仕事を奪われた人が辿り着く先
さらに、AI(人工知能)の成長により、中国では人型ロボットが大量生産されている。不動産不況による建設現場だけでなく、工場でも仕事が減った。そうした失業者の受け皿になったのが、一部の配達員や配車ドライバーなどの職種といわれている。
2025年、こうした「ギグワーカー」は5300万人を超え、2年で1000万人増えたとの報道もある。新卒者が、フードデリバリーなどの職に就かざるを得ないケースも珍しくないと聞く。
一方、習政権は、来年の党大会後の政権運営を見据え、権力基盤の強化に執心しているようだ。綱紀粛正に加え、海外に逃げた汚職官僚や経済犯を連れ戻し、国外に持ち出された資金を取り返すための総合的な取り組みも強化した。
今年の方針をまとめた天網2026によると、「裸官」(本人は国内で公職に就きながら、配偶者や子どもを海外に移住させている党や政府の幹部)の取り締まりも重点課題に挙げている。
民間部門では、企業の業績悪化によって雇用・所得環境の悪化が止まらない。それでも、習政権は政治優先姿勢を一段と鮮明にしている。社会全体での統制も強化し、思想教育も推進しているとみられる。

