「TBSだけ」と言っていたのに…

私の態度を見た議員は「まあいい。絶対に報道しろよ」と言って、なぜか資料を押し付けてきた。報じて欲しいのが本音なので、放送の確約を諦めたのだ。

小林拓馬『テレビのニュースはなぜ偏るのか』(ワニブックス【PLUS】新書)
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資料の内容は大したことのないもので、私は上司と相談して原稿は書かなかった。内容に価値があれば報じるべきだが、特ダネに目がくらんで意味もなく真偽不明の情報を報じるわけにはいかない。議員の目論見は失敗に終わった。

ちなみに、これは報じても特ダネではなかった。夜の時間帯に議員会館に出入りするには、通用口で氏名、時間、社名、訪問先の部屋番号などを記帳する必要がある。議員の態度を不思議に思った私は、帰り際に記帳のノートをチェックした。すると、朝日新聞と共同通信の記者の名前が書いてあった。訪問先は同じ議員の部屋番号で、時刻は私が訪問する20分前だった。

「TBSだけに特ダネをリークする」と言いながら、同じ誘い文句で他社にも声をかけていたのである。こうやってマスコミを踊らせて、自分たちに都合の良い報道をさせようとする議員もいる。

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